お礼状

2017年10月26日

まいにち、楽しんでぼちぼちとお礼状を書いている。
本当に少しずつなので全然進んでない気もするのだが...

今日は恩師に書いていた。
14歳から18歳までの一番大切な時に、師事していた S先生。
私が歌をやめられないのは、このかたの"せい"だ!
厳しく、優しく、愛情を持って育ててくださった。

先生は、歌だけでなく、私に対して、いろんなことを褒めてくれた。
高校生の頃は、「個性的なおしゃれだ」とか「和声を取るのだけはうまい。四声聴音だけなら藝大はいれるわ!」とか、、、!笑(これは褒めてない!)
勉強大嫌いだった私は、先生の学校でのレッスンとホームレッスン、週に2回のレッスンの時しか練習してなくて、
常に譜読み状態。
さぞ、腹の立ったこともあったと思うが、諭されたことや叱られたことはあっても、怒られたことはない。
いつもおしゃれで美人で、かっこいい、で、トークがお腹よじれるほどおもしろい、そんな先生。

大学卒業後は、「レターセットのセンスがいい」「いつも驚くような贈り物」「今日のファッションも素敵」「そのアクセサリーがよく似合う」と褒めてくれた。(先生からいただくポストカードも、先生のファッションやヘアメイクも、いつもすんごく素敵だった。)
その頃には、数年間にわたり、先生が製作するオペラやミュージカルに何度も出演させていただいた。

先生の品と迫力のある美的センスと、"自分でやらなきゃ気が済まん!"という気概を間近で見ていたから、
今回の「ひかり射す」を、わたしは、さほど大変だともおもわず、納得いくまでこだわれたのだと思う。

*舞台はお客様を非日常の世界にお連れするものでなくてはいけない。
*お客様は、演者が懸命に真摯に取り組んできた舞台に出るまでの時間に感動をするのだから、どんな時も一生懸命向き合わなければいけない。

相反することのようにも思えるが、
まさにそれだと思った。

非日常にするには、努力は見せられない。だが、お客さまは、それを感じる。

なんとなく、
「そうやって先生が言っていた」「そうやって先生は舞台を作ってきた」
という記憶と、
「歌手の枠を超えて、演出家と激論を交わしていた先生の姿」
が私の根底にあったのかもしれない。

あと、2年前にお茶した時に言われた
「まきちゃんは、ものすごく面白いのよ。考えもつかないような案を持ってくる。
 一緒にやっていた頃、私はそれがすごく楽しみだったのよ。まきちゃんは、やりたいようにやればいい。」
って言葉。大好きな先生が、楽しみにしていてくれるという、勇気の源。

自分のリサイタルなんて、誰に頼まれたわけでもなく、やってもやらなくてもいい。そんなコンサートのセルフプロデュースが楽しくて楽しくてたまらなかった 
というか、 やるのが自分の中では、やるのが当たり前すぎなのになんか知らないけど、友人に「セルフプロデュースすごいね!」といわれ、あ、そうか、これセルフプロデュースか、と気づいたのであって、やるつもりではなかった。
やりたいことやってただけだった。

なんでかわからないけど、『こんなんできちゃったんですけどー。。。』
と自分でも不思議すぎると思っていたけど(めんどくさがりで、サボリ魔のくせに。)

あ!!これは、【S先生イズム】なんだ!!

とお礼状を書いていて気がついた。

品良くセンス良く、華やかに、夢のような世界を、人の何倍も努力して作る。お客様はそれを観に来る。

私はずっと、S先生みたいになりたい と思っていた。少し近づけたと思う。
先生に出会えて幸せです。